就労継続支援A型事業所のデメリットとメリットを解説!どんな人に向いているか、他の選択肢も紹介

就労継続支援A型事業所のデメリットとメリットを解説!どんな人に向いているか、他の選択肢も紹介

就労継続支援A型事業所は、障がい者総合支援法に基づく「障害福祉サービス」の一つで、障害や難病のある方が雇用契約を結んで働きながら収入を得ることができる施設です。

障害や難病をお持ちで一般就労するのが難しい方にとって働く場の選択肢となり、「働きたい」「社会とつながりたい」という思いを叶える施設として注目されています。

しかし、実際に利用を検討するにあたっては、良い点やメリットだけでなく、デメリットもしっかりと把握しておきたいですよね。

特に以下のようなお金や働く上での責任に関する疑問を持つ方は多いでしょう。

就労継続支援A型の給料だけで生活できるの?

利用料はかかるの?

仕事内容の責任は重いの?

この記事では、就労継続支援A型事業所の利用を検討している方やそのご家族に向けて、就労継続支援A型事業所のデメリットを、その対策や重要度合いとあわせて詳しく解説します。

それだけではなく、利用することで得られるメリットや、A型事業所に向いている人、他の選択肢についてもご紹介します。

この記事を最後まで読むことで、就労継続支援A型事業所のデメリットとメリットを正確に理解し、ご自身にとって最適な選択ができるようになるでしょう。

目次

就労継続支援A型事業所とは

就労継続支援A型事業所とは、全国におよそ4,000か所ある障害者総合支援法に基づく就労支援サービスの一つです。

一般には「A型事業所」「A型作業所」と呼ばれることが多いです。

一般企業での就労が困難な障害や難病のある方に対し、支援員のサポートのもと働く場所を提供して知識やスキルの向上のために必要な訓練を行います。

A型事業所の最大の特徴は、事業所と利用者が「雇用契約」を結ぶ点にあります。

それにより、都道府県ごとに定められた最低賃金以上の給料が保証されます。

A型事業所のデメリット4選!生活できないってホント?

就労継続支援A型事業所のデメリットとして挙げられるのは、主に以下の4つです。

①A型事業所の給料だけで生計を立てることは難しい
②雇用契約を結ぶので、責任・義務が発生する
③一般就労へ移りにくい
④利用にあたって採用面接がある

これらのデメリットについて、データや実態などから具体的な内容分かりやすく説明していきます。

A型事業所の給料だけで生計を立てることは難しい

雇用契約を結び最低賃金以上の給料がもらえるため、金銭的な理由からA型事業所の利用を検討している方も多いでしょう。

しかし、経済的に自立をして生計を立てられるほどかと言うと、残念ながらそれは難しいです。

理由① 給料が低い

A型事業所の給料は、一般就労でもらえる給料と比べて約3分の1程度と低い傾向にあります。

そのため、「A型事業所の給料だけでは生活費全てを賄うのは難しい」というのが現実です。

就業形態平均賃金
一般就労268,000円*
就労継続支援A型事業所86,752円**
就労継続支援B型事業所23,053円**

*出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」週所定労働時間30時間以上の身体障害者の平均賃金
**出典:厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について

A型事業所の給料が低い主な理由としては、以下のような点が挙げられます。

  • 収益性が高い事業運営ができず、その分対価としての給料も低くなる
  • 週3日勤務、短時間勤務など労働時間が短いため

理由② 利用料がかかる場合がある

A型事業所の利用にかかる費用は、原則として無料(利用者負担ゼロ)です。

実際に9割以上の方が利用料の自己負担ゼロとなっています。

ただし、以下の条件に当てはまる場合は、月額の利用料が発生する可能性があるので注意が必要です。

お住まいの市区町村の窓口や事業所にて、ご自身の負担上限額がいくらになるかを計算してくれるので、不安な方は事前に確認しましょう。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯*0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)**
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます***
9,300円
一般2上記以外37,200円

※出典:厚生労働省「障害者の利用者負担
*3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
**収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。
***入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

実際のA型事業所の利用者は、以下の制度などを組み合わせて生活費を補っています。

  • 障害年金:就労継続支援A型事業所で働いて給料を得ながら、障害年金をもらうことは可能です。ただし、所得状況によっては年金額が調整される場合もあります。
  • 生活保護:世帯収入が生活保護の基準を下回る場合、生活保護と併給することも可能です。
  • その他の手当や制度:自治体独自の助成金や手当、自立支援医療制度などがあります。
  • 家族からの経済的支援

ちなみに、就労継続支援は障がい者手帳なしでも利用することができます。その代わり、「障がい福祉サービス受給者証」が必要になります。

雇用契約を結ぶので、責任・義務が発生する

就労継続支援A型事業所では、事業所と利用者の間で雇用契約を結びます。

これはA型事業所の大きな特徴であり、同時に労働者としての責任や義務が発生することになります。

具体的には以下の通りです。

  • 労働義務:決められた時間・場所で働く義務
  • 指揮命令への服従:事業所からの業務指示に従う義務
  • 時間や期限の遵守:決められた出勤時間、休憩時間、納期などを守る義務
  • 規律の遵守:職場のルールや服務規律(挨拶、態度など)を守る義務

体調が優れない日やモチベーションが上がらない日があっても、欠勤や遅刻、早退には注意が必要です。無断欠勤・遅刻が続くと解雇の対象となる可能性もあります。

ただ、A型事業所は障害・難病を持つ方の就労をサポートするための福祉サービスです。

一般企業ほど厳しい責任を負わされることは少なく、体調や能力に合わせた配慮が前提にあるので過度に恐れる必要はありません。事前に以下を確認すると安心して利用できるでしょう。

  • 雇用契約の内容:契約書をしっかり確認し、労働時間や仕事内容について合意してから利用を開始しましょう。
  • 配慮が必要な事項の共有:障害・難病の内容をしっかりと共有しておくことで、施設側としてもサポートしやすくなりスムーズに仕事が進みます。
  • 相談体制の確認:体調の変化や仕事の進め方について調整が必要な時に、就労支援員や職業指導員などの職員に随時相談できる体制があるか確認しましょう。

一般就労へ移りにくい

就労継続支援A型事業所は、一般就労(障害者雇用や一般企業への就職)への移行を目指すことを目的の一つとしています。

しかし、A型事業所で働いた利用者が実際に一般就労へ移行する割合は、4分の1程度と低い傾向にあります。

利用サービス一般就労への移行者割合
就労移行支援57.2%
就労継続支援A型26.2%
就労継続支援B型10.7%

※出典:厚生労働省「就労支援施策の対象となる障害者数/地域の流れ」令和4年

この理由としては、以下のような点が考えられます。

  • 利用期限がない:A型事業所の利用には期間の制限がないため、「安定した給料を得ながら長く働きたい」と考える方が多く、一般就労への移行を急がないケースが多いです。
  • 仕事内容の偏り:事業所によっては作業内容が固定化されており、一般就労で求められる多様なスキルや経験を積みにくい場合があります。
  • 体力・スキルアップの停滞:居心地の良さから、体調の安定やスキルの向上という一般就労へ向けた目標設定が曖昧になりやすい側面もあります。

対策としては、利用する前から目標設定をしっかりして一般就労へ移行した実績が多い事業所を選ぶようにしましょう。A型事業所を「一般就労へのステップアップの場」として捉えて事業所選びをすることでこのデメリットは解消できます。

  • 移行目標を明確にする:利用開始時に、いつまでに一般就労を目指すか、どのような職種を目指すかを支援員と相談し、具体的な計画を立てましょう。
  • 移行実績の多い事業所を選ぶ:事業所によって一般就労へのサポート体制や実績は大きく異なります。見学や説明会で、過去の移行実績やサポート内容を必ず確認しましょう。

利用にあたって採用面接がある

A型事業所では、雇用契約を結ぶため、利用開始前に採用面接が行われます。

これは、一般就労の採用試験とほぼ同じ流れです。

  • 書類選考:履歴書や障害者手帳の写しなどを提出します。
  • 面接:事業所の担当者や管理者と面接を行います。

選考があるということは当然不採用となる可能性もあります。

体調やスキルが事業所の求める水準に達していない、あるいは事業所側の定員が埋まっているなどが主な理由です。

選考を受けるということ、そして不採用になる場合があること自体が、体調や精神面で大きな負担となることがあります。

一方で、利用者にとっても採用面接を通じて事業所との相性や仕事への適性を判断できるのでメリットがあるとも言えるでしょう。

利用を検討する際には以下の点に注意しましょう。

  • 複数の事業所を検討する:不採用となる可能性も考慮して、事前にいくつかの事業所をピックアップしましょう。
  • 事業所の求める人物像を理解する:事前に事業所のウェブサイトやパンフレットで、どのような仕事があり、どのような人が活躍しているかを把握し、面接で自分の適性をアピールしましょう。
  • 体調を整えて臨む:体調が万全でない状態で無理に面接を受けても、本来の自分を見せられません。体調が安定している時期を選んで応募しましょう。

A型事業所のメリット

ここまでA型事業所のデメリットを解説してきましたが、もちろん多くのメリットもあります。

順に解説していきます。

①B型事業所と比べて給料が高い
②社会とのつながりを得られる
③職業スキルを習得することができる
④手厚いサポートを受けながら働ける

B型事業所と比べて給料が高い

A型事業所は、雇用契約を結ばないB型事業所と比べて、4倍近い圧倒的に高い給料が得られます。

就業形態平均賃金
就労継続支援A型事業所86,752円*
就労継続支援B型事業所23,053円*

*出典:厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について

B型事業所の「工賃」は、労働の対価として支払われますが、最低賃金が適用されません。

一方、A型事業所の「給与」は最低賃金以上が保障されているため高い給料を得られるのです。

社会とのつながりを得られる

A型事業所では、事業所へ毎日通い、他の利用者や職員と協力して仕事をします。この日常的な活動を通じて、以下のような社会的なつながりを得ることができます。

  • 生活リズムの安定:規則正しい出勤と退勤の習慣により、生活リズムが安定し、体調のコントロールもしやすくなります。
  • 安心できる居場所:同じような障害や悩みを抱える仲間や、理解のある職員に囲まれ、安心できる「居場所」を見つけることができます。
  • 孤立感の解消:自宅にこもりがちだった方が、決まった場所へ出かける習慣と、人との会話を持つ機会を得られます。

職業スキルを習得することができる

A型事業所で提供される仕事内容は多岐にわたります。

例えば、データ入力、軽作業、清掃、商品の検品・梱包、カフェの運営補助などがあります。

これらの仕事を通して、一般就労への移行に必要な実践的な職業スキルや、働く上での基本的なビジネスマナーを習得できます。

手厚いサポートを受けながら働ける

A型事業所は、働く場所であると同時に、福祉サービスを提供する場でもあります。

そのため、利用者は以下のような手厚いサポートを受けながら働くことができます。

  • 個別支援計画:一人ひとりの体調や能力、目標に合わせた個別支援計画が作成され、それに基づいてサポートが提供されます。
  • 体調への配慮:体調が優れない時は、短時間勤務への調整や休憩時間の確保など、柔軟な働き方の相談が可能です。
  • 人間関係の調整:職員が間に入り、利用者同士や職員との人間関係、仕事の進め方など、職場でのトラブルや悩みを解決するためのサポートを行います。
  • 就職活動支援:一般就労を目指す方には、履歴書の作成指導や面接練習、就職先の情報提供といった就職活動の支援も行われます。

どんな人に向いている?

メリットとデメリットを踏まえると、A型事業所は特に以下のような方に向いていると言えます。

・毎日決まった時間で働ける体力と意欲がある人
・一般就労を目指すステップにしたい人
・B型事業所の工賃よりも高い収入を得たい人
・社会人としての責任感や規律を身につけたい人

他の選択肢(就労移行支援、就労継続支援B型)も紹介

ここまでA型事業所のデメリットとメリットを紹介してきました。

総合的に考えた結果、A型事業所の利用が難しい場合はその他の選択肢も検討してみましょう。

ここでは、就労移行支援と就労継続支援B型事業所について簡単に紹介します。

就労移行支援

就労移行支援は、一般就労を目指す方を対象に、最長2年間、集中的な訓練や就職活動のサポートを提供するサービスです。

就労移行支援の最大のメリットは、高い一般就労移行率です。

A型事業所と比べて利用期間は限られますが、就職後の定着支援も受けられるため、就職活動に専念したい方におすすめです。

就労移行支援
目的一般企業への就職
利用期間原則2年間(延長の場合あり)
雇用契約なし(給料・工賃は発生しない)
サービス内容職業訓練、ビジネスマナー、PCスキル、履歴書・面接対策、職場実習、就職後の定着支援など
向いている人数年以内に一般就労を目指したい、集中的にスキルアップしたい人

就労継続支援B型事業所

就労継続支援B型事業所は、体調や年齢などの理由から、A型事業所や一般企業での就労が難しい方を対象に、自分のペースで軽作業などを行うサービスです。

B型事業所のメリットは、時間や日数に融通が利きやすい点です。

雇用契約がないため、プレッシャーを感じることなく、自分のペースで働く習慣をつけることができます。

B型事業所
目的働く場と生きがいの提供、生産活動を通じた能力向上
利用期間制限なし
雇用契約なし(工賃が発生する)
サービス内容軽作業、創作活動、リハビリ、レクリエーションなど
向いている人・体調の波が大きく、決まった時間に働くのが難しい人
・働くことよりも社会参加やリハビリを重視したい人

まとめ

就労継続支援A型事業所の利用を検討する上で役に立つ、デメリットとメリットについて解説しました。

本当の意味で自分に合った事業所選びをするには、実際に見学に行ってみて事業所や職員・一緒に働く利用者の方の雰囲気を感じることが大切です。

ぜひ利用を検討する際は、見学した上で自身の障害・難病や今後の目標を考慮して総合的に検討してみてください。

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この記事を書いた人

ココベース編集部のアバター ココベース編集部 「障がい者雇用サポーター」「精神・発達障害者しごとサポーター」

就労支援専門メディア「ココベース」の編集部です。利用者と事業所の間に立つ存在として、有益な情報を発信していきます。
筆者は、障がい者雇用支援センター認定の「障がい者雇用サポーター」です。厚生労働省の講座を受講した「精神・発達障害者しごとサポーター」でもあります。

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