就労継続支援A型事業所の利用料はいくら?0円になる条件や負担額の計算方法を解説!「実家住みだと高い?」「給料より高くならない?」といった疑問を解決します

就労継続支援A型事業所(以下、A型事業所)での働き方を検討している中で金銭面での不安を感じていませんか。

利用料はかかるのだろうか?

もし費用が発生したら、手取りが減ってしまうのではないか

お金を稼ぐために通所するのに、利用料でマイナスになってしまっては元も子もないですよね。

結論から言えば、ほとんどのA型事業所の利用者が無料でサービスを活用しています。

費用に対する漠然とした不安を解消し、ご自身が安心して働き始められるよう、利用料がどのように決まるのか、親の収入は関係あるのか、そして利用料以外にかかる実費をどう抑えるかまで、具体的なシミュレーションと対策を解説します。

この記事を読むことで、金銭的な心配をすることなくA型事業所の利用に向けた一歩を踏み出すことができるでしょう。

目次

就労継続支援A型事業所とは

就労継続支援A型事業所とは、全国におよそ4,000か所ある障害者総合支援法に基づく就労支援サービスの一つです。

一般には「A型事業所」「A型作業所」と呼ばれることが多いです。

一般企業での就労が困難な障害や難病のある方に対し、支援員のサポートのもと働く場所を提供して知識やスキルの向上のために必要な訓練を行います。

A型事業所の最大の特徴は、事業所と利用者が「雇用契約」を結ぶ点にあります。

それにより、都道府県ごとに定められた最低賃金以上の給料が保証されます。

A型事業所の利用料は「9割以上の人が0円」

A型事業所の利用にかかる自己負担額は多くの方にとって大きな懸念点かもしれません。

しかし厚生労働省の統計によると、

実際には利用者の9割以上が0円、つまり無料でサービスを利用しています。

これほど多くの人が無料で利用できる理由は、障害福祉サービスの自己負担額が「世帯所得」に応じて月額上限が設定されているためです。

具体的には、生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯(所得が一定以下の世帯)に該当する場合、利用料は一切発生しません。

例えば、現在お仕事をされておらず、前年度の収入が限られている方や、ご家族と同居していても世帯全体の所得が低いケースでは、大半がこの「自己負担0円」の枠組みに収まります。

もしご自身が対象になるか判断に迷う場合は、お住まいの市区町村にある障害福祉窓口へ問い合わせてみてください。

その際、手元に「住民税非課税証明書」や「通知書」を用意して「自分がA型事業所を利用した場合、自己負担は発生するか」と質問するだけで、正確な区分を教えてもらえます。

費用の不安をなくすことが、自分らしい働き方を見つけるための確実な一歩となります。

利用料が決まるしくみと「所得区分」の境界線

ざっくりでもいいから毎月かかる利用料の目安を知りたい方に向けて、その決定方法のしくみを紹介します。

自分の負担額がわかる「月額負担上限額」の4つの区分

A型事業所の利用料金は、前年度の世帯所得に応じて「0円」「9,300円」「37,200円」という3つの月額上限負担額のいずれかに決定されます。

区分世帯の収入状況負担上限月額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯*0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)**
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます***
9,300円
一般2上記以外37,200円

※出典:厚生労働省「障害者の利用者負担
*3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
**収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。
***入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

このように所得に応じた段階的な負担額が設定されているのは、経済状況に関わらず誰もが平等に就労に向けたサポートを受けられるようにするためです。

具体的な所得区分の境界線は、市町村民税の課税状況が基準となります。

まず、生活保護受給世帯や市町村民税が非課税の世帯(低所得区分)は、自己負担なしの0円です。

次に、市町村民税課税世帯のうち、前年度の所得割額が16万円未満(概ね年収670万円以下の世帯)が「一般1」という区分になり、月額の上限は9,300円に設定されています。

それ以上の所得がある世帯は「一般2」となり、上限額は37,200円です。

18歳以上なら親の年収は関係なし!「世帯所得」の定義を解説

世帯収入により利用料が大きく変わることが分かったと思いますが、

親や親族と同居しているから、世帯収入の条件に引っかかって利用料がかかってしまうのでは

と不安になる方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、18歳以上の方であればA型事業所の利用料を決定する際に親の年収を心配する必要は一切ありません。

なぜなら、利用料の算定基準となる「世帯」の範囲において、18歳以上の場合は本人と配偶者の収入のみが合算対象となるからです。

一般的に「世帯」と聞くと、住民票を一緒にしている家族全員をイメージするかもしれませんが、障害福祉サービスのルールでは、18歳以上になると親と同居していても「本人と配偶者」だけを一世帯としてカウントします。

たとえ親や親族が高い所得を得ていたとしても、本人と配偶者に収入がなければ、制度上は「所得がない世帯」として扱われる仕組みです。

そのため、多くの方が利用料0円の区分に該当するのです。

【収支シミュレーション】給与から利用料・経費を引いていくら残る?

A型事業所は雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与が約束されています。

最新のデータによると、A型事業所の利用者の平均賃金は月86,752円です。

※出典:厚生労働省「令和5年度工賃(賃金)の実績について

そのため、就労移行支援とは異なり、利用料と経費を差し引いても手元に生活費を残すことができます。

しかし、利用料が0円であっても給与から社会保険料や雇用保険料・税金などは控除されます。

また、通所にかかる交通費や昼食代などの実費負担が発生するため、給与の全額が手元に残るわけではありません。

イメージしやすくするために、具体的な収支モデルをシミュレーションしてみましょう。

ケース1:実家暮らしで「低所得」区分に該当する場合

前年度の収入が300万円以下で、実家で暮らしながらA型事業所を利用する場合でシミュレーションしてみましょう。

仮にA型事業所の平均に近い月収90,000円を稼ぐとします。

年金や保険料など社会保険料を引いた手取り額は約77,000円です。

※手取り額シミュレーションはこちら

前年度の収入が300万円以下だと市町村民税非課税世帯になり負担区分が「一般1」に該当しますので、利用料の自己負担上限額は0円となります。

18歳以上ですと親の収入は関係なく、自分または配偶者の収入のみで世帯収入が計算されます。

実家暮らしですので、家賃や食費・水道光熱費等は基本的にかかりませんが、その代わりに今回は実家に30,000円を入れることにします。

その他、通勤交通費や仕事中の昼食で20,000円ほどかかるでしょう。

すると、貯金や自由に使えるお金は毎月27,000円ほど手元に残ります。

ケース2:一人暮らしで「生活保護」区分に該当する場合

一人暮らしをしているケースでもシミュレーションをしてみましょう。

時給の良い事業所に勤めたり勤務日数を増やすなどして、A型事業所の給料のみで月収120,000円を稼ぐとします。

生活保護の場合、所得税・住民税は免除になるため手取り額は社会保険料のみ引かれて約102,500円となります。

また、追加の収入となる生活保護は、その他の条件にもよりますが53,000円程度が支給されるとします。

すると、毎月の生活費として使えるお金は150,000円ほどになります。

一人暮らしで「低所得」区分に該当する場合、A型事業所の利用料金は原則として「0円」になります。

主な支出として、家賃50,000円・食費40,000円・水道光熱費10,000円・日用品/雑貨10,000円、通信費5,000円とすると、貯金や娯楽として使えるお金は40,000円ほどになります。

利用料以外にかかる「実費」で赤字にならないための注意点

A型事業所を利用する際は、たとえ利用料が無料であっても「実費負担」の資金計画を立てることが不可欠です。

なぜなら、通所に必要な交通費や日々の昼食代、作業着などの経費は原則として自己負担となるからです。

毎月いくらまでなら実費として支出可能かを数値化して、無理のない通所計画を組むのがポイントです。

工賃が利用料を下回ることはある?「逆ざや」を防ぐルール

A型事業所は雇用契約を結ぶため、「工賃」ではなく「給与」が支払われます。

利用料が発生する場合でも、支払う利用料が受け取る給与を下回る「逆ざや」の状態になることは原則としてありません。

これは、事業所が利用者から徴収する利用料が、その利用者に支払われる給与の額を超えてはならないという明確なルールが定められているためです。

このルールの背景には、働くことで利用者が経済的な不利益を被ることを防ぐという目的があります。

そのため、「働いても結果的にマイナスになってしまう」という心配をする必要はありません。

意外と大きい「昼食代」と「交通費」を安く抑えるポイント

マイナスにはならないとはいえ、手元の残るお金は少しでも多いほうがいいですよね。

ポイントは不要な出費を減らすことにあります。

特に通勤交通費や日々の昼食代は大きな出費となりますので、ここではそれらの出費を抑える方法を説明します。

A型事業所選びをする際には、自治体の制度や事業所の福利厚生で「交通費や昼食の助成制度があるか」を必ず確認しましょう。

まず交通費については、自分が住んでいる自治体の福祉窓口へ行き「就労継続支援A型通所交通費助成制度」の有無を確認してください。

多くの自治体では、障害者手帳の有無や所得制限などの条件はありますが、通所にかかる実費を全額、または一部補助する制度を設けています。

※参考:松戸市「障害者施設等通所交通費の助成

また、昼食代に関しては「昼食提供あり」の事業所を優先的に選ぶのが最も効果的です。

事業所によっては、無料でバランスの良い食事を提供していたり、低価格で提供していたりするケースが多々あります。

食事提供がない場合は、お弁当を持参する習慣をつけるだけで、外食と比較して月1万円以上の節約が見込めます。

支払いが不安な人を助ける減免制度「境界層該当」

すでに解説したように、A型事業所の利用料金は世帯所得に応じて決まるため約9割が無料で通っています。

しかし、生活保護や低所得にはギリギリ該当しないけれど、利用料y金を支払うと途端に生活が苦しくなる方はどうでしょう。

そういった方々を救うのが、「境界層該当」という仕組みです。

この制度を活用することで、本来支払うべき自己負担額が減額、または全額免除される可能性があります。

境界層該当とは「本来の負担額を支払うことで、生活保護が必要な状態になってしまう」という境界線にいる方を救済するための制度です。

支援を受けるための出費が原因で生活が立ち行かなくなることを防ぎ、経済的な自立を支援することがこの制度の目的です。

これにより、通常であれば自己負担が発生するケースでも負担額が0円になったり、あるいはより低い利用額になるといった措置が取られます。

※参考杉並区境界層該当者の軽減制度

後悔しないために!A型事業所を決める前の3ステップ

A型事業所への通所は、あなたのキャリアや生活リズムを整えるための大きな一歩です。

だからこそ「自分に合わなかった」と後悔することだけは避けたいですよね。

納得のいく選択をするために、契約前に必ずチェックしてほしい3つのステップをまとめました。

1. 「絶対に譲れない条件」を整理する

まずは自分の中での優先順位を明確にしましょう。

給与(時給)や勤務時間は生活を維持できる水準か?

将来の目標(一般就労を目指すのか、長くA型で働きたいのか)に合っているか?

ここがブレてしまうと、働き始めてから「こんなはずじゃなかった」というギャップに繋がります。

2. 作業内容と自分の適性を照らし合わせる

A型事業所の仕事内容は、PC作業、軽作業、清掃、調理補助など多岐にわたります。

「頑張ればできそうなこと」ではなく、「無理なく続けられそうなこと」を基準に選ぶのがコツです。

自分の特性を活かせる環境かどうか、具体的な業務フローまで確認しておきましょう。

3. 必ず「見学・体験」で現場の空気感を知る

最も重要なのが、実際に足を運ぶことです。

スタッフや他の利用者の雰囲気は自分に合うか?

騒音や明るさなど、環境面でのストレスはないか?

求人票の文字情報だけでは分からない「居心地の良さ」は、自分自身で確かめてみなければ分かりません。

理想の事業所探しをサポート!

「一人でいくつもの事業所を探すのは大変…」と感じる方も多いはずです。

そんな時は、たくさんのA型事業所の求人を比較検討できる専門サイトを活用してみませんか?

エリアや職種、今のあなたの状況に合わせた絞り込み検索が可能で、効率よく比較検討ができます。

後悔しない選択をするために、まずは最新の求人情報をチェックして、気になる事業所の見学予約から始めてみましょう。

あなたの新しい一歩を、私たちは心から応援しています。

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この記事を書いた人

ココベース編集部のアバター ココベース編集部 「障がい者雇用サポーター」「精神・発達障害者しごとサポーター」

就労支援専門メディア「ココベース」の編集部です。利用者と事業所の間に立つ存在として、有益な情報を発信していきます。
筆者は、障がい者雇用支援センター認定の「障がい者雇用サポーター」です。厚生労働省の講座を受講した「精神・発達障害者しごとサポーター」でもあります。

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